当日の感想集です。
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講演:『部落差別解消過程をめぐる現状と問題点―今問われる差別撤廃・人権確立への基本的視座のあり方』
講師:谷元昭信 手話通訳・要約筆記あり
日時:8月20日(日)14時~17時
会場:松江市市民活動センター201研修室
松江市白瀉本町(0852-32-0800)
参加費:500円 手帳をお持ちの方、介助者、
20歳未満無料
主催:人権パッチギの会 松江
後援:フォーラム平和・人権・環境しまね、部落解放同盟島根県連合会、在日本朝鮮人総聯合会島根県本部、朝日新聞松江総局、山陰中央新報社、毎日新聞松江支局、読売新聞松江支局
問合せ:090-3638-5438 森
「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(本文)。 面白いことに「差別解消」ではなく「理解増進」で、名前からしてやる気の無さが透けて見える。挙げ句の果てに「多数者にも配慮しろ」(12条)ときた。当事者や支援団体からは批判の声も上がっている。
「差別する側に配慮している」
「LGBTは生産性がなく、日本を滅ぼす」とまで言った議員を多数抱える政権政党が、イヤイヤ作る法案で救える人間は一人もいない。「無いよりあった方がいい」と作られる法が如何に無意味を通り越し、「差別を助長する法」に成り下がるかの典型である。もはや、朝鮮学校に対する差別と同様「官製ヘイト」だ。
しかし、良い法があれば差別はなくなるのかと問えばそれは「NO」である。私達の選んだ為政者に理念がなければ、それは「お飾りの法」でしかない。憲法9条等、日本が締約国している人権条約はたくさんあるのに、現状は悪くなっているように感じる。
さて、怒りで前振りが少し長くなったが、今回の谷元講演会のテーマは、「差別の交差性(インターセクショナリティ)」だ。
「すべての差別が無くならない限り、部落差別は無くならない」これは谷元さんの持論である。さまざまな差別の軸が組み合わさり、相互に作用することで独特の抑圧が生じている状況を紐解きます。
以下は谷元さんの提案趣旨です。
====================部落差別の問題を通して、現在、「差別撤廃・人権確立」の基本方向を首肯する装いを見せながら、実質的にはこれらの政策の基本精神を骨抜きにし、マイノリティ間、マイノリティとマジョリティ間に分断を持ち込み、さまざまな社会問題の存在を不可視化・周縁化・外部化していくような政策がまかり通っていくという憂慮すべき事態が静かに潜行しているように思われます。
なぜ、このような事態が起こるのか。日本社会のあり様を掘り下げながら、その問題点と課題を共有し、社会問題解決への取り組みを横に繋ぎ合う基本的視座を獲得し、社会連帯と地域共生が根づく豊かな社会づくりのあり方について真摯な対話を深めていきたいと思います。
直近でも、6月28日の示現舎裁判の東京高裁判決、LGBT理解増進法をめぐる迷走、世界男女格差報告書(2023年版)にみる日本の惨憺たるジェンダーギャップの問題など、課題は山積しています。
これらのバラバラに見える社会的諸問題(社会的不平等)が、実は交差し絡み合いながら存在しているのだという認識が必要であり、その共通基盤として歴史的・社会的に形成されてきた社会構造があるということです。
私は、この状況把握の概念として「同根異花」という造語で提示してきました。「差別の交差性」(インターセクショナリティ)は、このような概念の国際共通語として、近年主流となっている概念です。国内外の社会運動を横断的にネットワークしていく社会連帯を構築していくうえで重要な認識方法論であり、広く共有していきたいと思っています。大文章になっていく気配がしてきましたので、このあたりで止めておきますが、「対話の継続」をはかりたいと思います。
講師プロフィール:1951年岡山県北西部の被差別部落で出生。大阪市立大学法学部に入学と同時に部落解放運動に参画。部落解放同盟中央本部の専従役員・書記として第一線で活動。反差別国際運動の結成に参画。 大阪市立大学非常勤講師 、 関西学院大学非常勤講師 。現在、部落解放論研究会代表、大阪市立大学熱光会会長。